History of Acoustic Therapy音響療法の歴史

ロスリン礼拝堂

古代から知られていた音の不思議さ

私たちの住んでいる世界には「音」が満ちあふれています。聞こえる音・聞こえない音、音楽的な音・無秩序な音、耳慣れない音・聞き慣れた音、不快な音・快い音、健康を損なう音・結構を増進する癒やす音など様々な音があります。ヒーリングを目的とするマントラやチャント、呪文などは古くからある音です。

また、不妊症やリューマチの痛み、虫さされに利く呪文なども古代エジプト時代の医学書に記されています。偉大な音楽家たちは音と音楽、健康の関連性に気づき、「聴衆をより健康に」したいと考え、曲づくりをしていたといわれています。19世紀初頭になると、音楽が呼吸や心拍数、血液の循環・血圧に及ぼす影響が測定され、その生理的効果が科学的に研究されるようになりました。

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クラードニ図形

「音」を本格的に研究したクラードニ博士

では、音の歴史をひもといてみましょう。17世紀後半、英国の自然哲学ロバート・フックがガラス板に小麦粉をまぶし、その縁に沿って弓を滑らせて振動させ、ガラス板に現れる振動パターンを観察しました。

それから約100年後の18世紀後半、この現象によって現れる様々な幾何学模様を音響図形としてまとめたのがドイツの物理学者であり、音楽家でもあるエルンスト・クラードニです。

彼も同様に、砂で覆った薄ガラス板や金属板の辺をバイオリンの弓で振動させて観察を行って音響図形の体型を作り、音波の圧力が物理上の物質に影響を与えることを科学的に証明しました。言い換えれば『音を可視化する』方法を開発したのです。クラードニがまとめた図形は「クラードニ図形」と呼ばれ、またその功績から彼は「音響の父」と呼ばれています。

ロバート・フック
エルンスト・クラードニ

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ハンス・ジェニー博士の実験内容

サイマティクスの誕生

19世紀に、クラードニ理論を受けたフランスの物理学者のジュール・リサージュは、音響波形を、直角に振動する2つの音叉に鏡からの光速を反射させることで視覚化する光学的方法を開発しました。この原理はオシロスコープや無線信号波、レーザーライトなどに応用されています。

20世紀になると、スイスの自然科学者ハンス・ジェニー博士がトノスコープという装置を開発し、粉末や液体、水銀やグリセリンゲルなどに音(振動)を与えるとどのように変化するか実験しました。

音が変わればそこに作り出される形や図形のパターンも変化することを解明したのです。音(振動)が物に動きを与え、物の形・図形を作るという物理的分野を博士は「サイマティクス」と名付けました。

ジュール・リサージュ博士
ハンス・ジェニー博士

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2人の理論

ニュートンとアインシュタイン

一方、人体はどのように考えられていたのでしょうか。17~18世紀の物理学者ニュートンは、宇宙は原子という最小単位で構成されているという原子論を唱えました。人体を作っている物質は部品またはパーツであり、人体そのものはロボット的存在として捉えています。

この医学的アプローチは今日の外科手術や薬物治療など対処療法に用いられています。また、18~19世紀を生きた物理学者アインシュタインは、空間は時間を抜きにして捉えられず、双方は密接に関係しているという相対性理論を唱えました。

彼の医学的アプローチは、人体はエネルギーとしての物質という視点からのものでした。人体は周波数特性を持つエネルギー的な存在であり、人体そのものは様々なエネルギー場の影響を受けながら維持されていると考えたのです。

アイザック・ニュートン
アルベルト・アインシュタイン

「ひも理論」と「超ひも理論」

このニュートン力学の幾何学模様的表現を解析学的に修正して、現代的なスタイルに変更したのが18世紀のスイスの天体物理学者レオンハルト・オイラーであり、世の中のすべての物質は「ひも」のようなものでできているという理論を発表しました。
物質を構成する原子を太陽系の大きさと考えると、ひもと呼ばれるものは地球上の木ほどの大きさで、そのひもは小さく振動するエネルギーであると考えたのです。この理論は科学界で長く様々な物議を醸しました。現代の物理学界で考えられているのは、この理論に端を発して20世紀後半に誕生した「超ひも理論」です。
物質の素(もと)を超対称性を持つ1次元のひもと考え、1cmより35桁も小さく、糸くずのように線状のものや輪ゴムのように閉じたものとして考えられています。

ピーター・ガイ・マナーズ博士

マナーズ博士の着想

こうした「ひも理論」という概念がない時代にすでに『地球上のすべてのものは振動して音やハーモニーを奏でている』という観点に立って研究を重ねたのが、後にマナーズサウンドの生みの親となるピーター・ガイ・マナーズ(以下、本サイト内ではマナーズ博士と表記))です。

マナーズ博士は『薬漬けになってしまう治療法や外科的手術による治療法では病気を治したことにはならない。人間の身体にはもともと健康を維持できるような何かがあるはずであり、それを解明しなければ代行的な医学を行い続けることになる』と考えたのです。

当時学んでいたオックスフォード大学医学部を実質3年で卒業したマナーズ博士は、その後、オックスフォード付属病院に移り、『音や光を使って健康にできる方法を研究したい』と懇願したものの、病院側にはその考えを受け入れてもらえるには至りませんでした。

ピーター・ガイ・マナーズ博士

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ハロルド・サクストン・バー博士の理論

ハロルド・サクストン・バー博士との出会い

”音や光で病気を癒やす”というマナーズ博士の発言は周囲を驚かせるものでした。”これではダメだ”と考えたオックスフォード附属病院の総長が、マナーズ博士が望む研究ができるかもしれないとドイツのハイデルベルグ大学に移ることになりました。

そこでマナーズ博士に大きな影響を与えたのが、サイマティクスという音と形状の関係を研究する分野を確立したスイスのハンス・ジェニー博士であり、生体場エネルギーの研究で著名なアメリカ・イエール大学の解剖学者ハロルド・サクストン・バー博士です。

特にバー博士の『人体をはじめ、地球上のあらゆるものは電気的なリズムを持っており、それが複合的に集まって集合体を形成する。その集合体が発するリズムを波動エネルギーという』とする理論はマナーズ博士の研究に大きなヒントを与えました。

ハロルド・サクストン・バー博士

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マナーズ博士の健康観

サイマティクス医学の誕生

マナーズ博士はハイデルベルグ大学において音響医学の論文で学位を取得するほどの天才ぶりを発揮しました。人体共鳴音と生命磁場との関係を研究し、独自の音響医学理論を確立したのです。さらにマナーズ博士はハロルド・サクストン・バー博士が生命場理論を提唱したことにも着眼し、音響医学研究で生命磁場との関係から人体共鳴音を約4,000種類確認しました。

医学的診断および治療、特に音の振動と超和音が人間の身体の構造や科学的な面に及ぼすヒーリング効果、音と光が人間の環境に及ぼす効果などもその研究項目です。半世紀以上にわたる研究でマナーズ博士は人間の身体の細胞が健康なときに発信している音や振動を分析・解明し、その音を身体に聞かせることによって細胞が共鳴し、健康な状態に戻ることを発見したのです。マナーズ博士はそれを「サイマセラピー」と名付けています。

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